2009年3月23日月曜日

「懺悔」 テンギス・アブラゼ監督作品

新聞紙上で公開を知って、是非観たかった映画。今月はフォーラム21の定期演奏会準備や小学校PTAの用事で時間がないのだが、今見逃したら永遠に観られないかも!と自分を叱咤激励して名古屋シネマテークまで走った。

グルジア映画は幻想的な表現が得意,らしいが、昔見た「スタフ王の野蛮な狩」の幻想性とは異なる、もっと泥くさく、枯れた葡萄の葉の香りがする。ストレートな表現を避けながら、観客に思うことを熱く伝えるためにグルジア映画が生み出した魔法なのかもしれない。しかし、テーマは明確で、よくあの時代にこの映画をつくれたものだと驚きを禁じえない。

俳優陣の魅力的なこと。少女ケテヴァンの、何事も見逃すまいと見張る大きな目。大人になったケテヴァンの意思的な眼差しとその中に宿る喪失感。ニノが材木置き場で娘を抱きながら呆然と佇む絶望の眼差し。キリストそのもののようなサンドロの静かに燃える瞳、そしてそして、最高に感動したのがアフタンディル・マハラゼ演じるヴァルラムとアベル。ヴァルラムは時代と心中する道を邁進する男の狂気を、アヴェルは内心の分裂に悩む小心な男を演じ、見事だった。最高の演技を見せてもらった感動で
今も胸が高鳴る。

一番印象に残るシーンは、やはり材木置き場かな。
好きなシーンはケテヴァンのもとにトルニケが訪れるところ。
そして、いちばん恐ろしかったのは、ヴァルラムがサンドロの家を訪問し、悪魔のようにサンドロ一家に呪いをかけるところ。

もう一度、観たい映画のリストに入れよう。

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