久しぶりに、何も用事のない日曜日。
「何かある?」「何も。」「じゃあ、映画、行こうか?」
運良く観たいと思っていたシネマ歌舞伎「刺青奇偶」が前日からはじまったばかり。
地味な作品だが、なんだろう、この張り詰めた緊張感。玉三郎と勘三郎、この2人の充実した演技、台詞回し、存在感。舞台の上に立つだけでタメイキがでそうなくらい深い。
冒頭のシーン、玉三郎が放心した様子で海を眺める。その佇まい。科白もなく立ち尽くす姿はこの作品の全てを既に物語っている。感じてくださいよ、静かに包み込むように作品の心をあじわってくださいよ、と。
他の脇役も見事。
大切に、大切に、練り上げられ、作られた「こころ」そのもの。
観客も、疎かには観ることはできない。
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