2008年9月4日木曜日

「すべては音楽から生まれる」  茂木健一郎著

Kが買ってきた本だ。彼がこのような本を自ら買って読み始めるとは、6年前には想像も出来なかった。

私が読みたいと思う本を不思議なことに選んでくる。親子だな。趣味や興味も重なる部分が多い。

以前「クオリア降臨」で読んだ茂木さんの「クオリア」の概念が、この本にも出てくるが、そのとき漠然としていたことが1年たった今よく理解できる(ような気がする)。

35年前の「ペトリューシュカ」。父が買ってきたバーンスタインの1枚は、1週間の間、私には不可解な音の、断片的な集まりにすぎなかった。それがある日ある瞬間を境に、はっきりと旋律の重なりが意味をもって迫ってきた。あの時の驚きと喜びを今でもはっきりと覚えている。脳の中では何が起こっていたのだろう?ごろごろ転がっていたあまたの石ころから突然光が四方に広がり、脳は狂喜した。
「お父さん、判ったよ」と興奮して語った私を見る父の優しい目を思い出す。

映画を観たり、本を読んだり、様々な芸術作品を鑑賞する行動は、すべてあのペトリューシュカのような衝撃を再び脳に与えたいが為かもしれない。一生のうち、そんな幸せな出会いをいくつ経験できるだろう。

あの瞬間、世の中の風景が変わったような気がした。

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